令和2年度(2020年度)栃木県立入試 数学のポイントを解説します

令和2(2002)年度、栃木県立高校入試の数学について解説する記事です。現在私は社会人の転職をサポートする仕事で働いていますが、学習塾教室長の経験や受験参考書の出版など今でも大きな関心を持っています。

 

今回の入試問題も、これまでの傾向からの変化や難易度など個人的な想いも込めてまとめていきます。あなたが栃木県での高校入試にチャレンジするのであれば、または関係者であれば参考にしてみてください。 

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栃木県の数学は大問構成がほとんど変わりません。良くも悪くもです。

良い点ですが、受験生にとっては本番対策がしやすいです。新聞社が実施している模試も毎回同じような構成や難易度です。一言で表すと傾向が変わりません。何回か模試を受けていても、偏差値はあまり変わらないのではないでしょうか。ラッキーまぐれが起きにくい一方、一度点数が上がってくると下がりにくいのが特徴です。

 

悪い点はたくさんあります。(たぶんですが)受験問題を作成する担当者は、大問構成をガラッと変えたり、これまでとは全然違う思考問題を突っ込んだりする勇気がないかもしれません。平均点がいきなり40点になったり70点になっては問題です。50点くらいに落ち着いて、でも上下に点数が割れてちょうどいい程度に受験生に差がつくのが理想的です。

傾向が変わらないということは、受験生が見たことがないような問題を作成しようとすると難問奇問になりやすいです。しかも全国的には問題文が長くなり、理解力や思考力を問う問題が増えています。これを意識しているのか無理をしちゃって、大問5や大問6は悲惨な年度もありますね。高校数学でまったく役に立たない力を問われている悪問もあります。

 

長くなってしまいましたが、個人的には大問5、6あたりは毎年ガラッと変えていいのではないかと思っています。1次関数の応用と図形の規則性はさすがに飽きてきましたね。確率の文章題、グラフと図形の融合問題が出題されるかも…と思ってドキドキ受験勉強した方が高校に行ってから非常にラクです。

【大問1】はとにかく落とさない

ここはテッパンです。学習塾で数学を教えていたときは、もしも後半の問題に手が出なくて時間が余ったら2回解いて絶対に落とさないことを徹底していました。ここで28点取るのか落とすのか大きな差になります。偏差値50を目指すなら、大問4、大問5、大問6のそれぞれ後半を捨ててでも、大問1を2回解いて落とさないことですね。偏差値60を目指すなら一発計算で全問満点を目指しましょう。

ここに確率が入ってくる年度が増えてきましたね。繰り返しになるのですが、確率は大問にしたり図形と融合問題にしたり、思考力を問うような良問にしやすいと考えています。大問1で出題するには正直反対です。

【大問2】作図を確実に解く

作図は常連ですね。作図は時々面白い問題が出題されますが、中3の早い段階で完成させると合計点が安定して時間も確保しやすくなります。令和2年度は文字を使った証明とグラフの応用です。

大問1と大問2の難易度は例年変わりません。ここで完全正解できるようになったら、偏差値50を切ることはまずないでしょう。

【大問3】連立方程式は早く正確に解く

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前半は、問題集ではよく見るけど意外と本番では出題されない、人数が増減する問題でした。昨年度の人数を文字でおく指示があるので、%の処理だけ間違わなければ大丈夫でしょう。学習塾で鍛えられていれば楽勝だったのではないでしょうか。

数学が苦手だと、方程式をつくることよりも、今年増減した人数をどう表すか苦戦するイメージです。〇割、〇%を分数で表すこと、連立方程式を最短距離で解く練習は自信が持てるまで繰り返しましょう。

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後半は昨年からの継続です。資料の読み取りで説明もさせるという奇問です。(3)はクイズですね。採点する担当者はラクでしょうが、どういう学力を計りたいのか不明です。書き方が難しいです。

【大問4】教科書レベルの問題を確実に

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前半の証明はカンタンでしたね。誰でも解けるという意味ではないのですが、教科書レベルの難易度です。このあたりから、考える時間、書く時間をどれだけ短くできるか勝負です。物語を書くのではないので、書きながら考える、書き直すとかはNGです。考える時間は考える、書くときは一気に書く、これでいきましょう。

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後半は問題を見て、解くか飛ばすかの判断が必要です。自信があるならそのまま解いてもいいでしょうし、多くの場合は大問5に時間をかけて確実に得点するべきです。

前半と後半で問題のつながりがなく、一気に難易度(計算量)が上がるので、最初から飛ばすのも立派な作戦です。大問構成が変わらない前提ですが。

【大問5】まずはグラフの意味を理解する

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大問5は考えすぎかもしれませんが、オリンピックを意識している気が。ヨコ軸が時間、タテ軸が距離のグラフは、難易度は別として問題集でもよく見ると思います。

○分後をグラフでタテになぞることができますか?

○kmをヨコになぞることができますか?

これができれば安心です。傾きが速さになりますが、この問題では、並行=同じ速さ!と書いてくれているので助かりますね。

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問題文に書いてある状態をグラフで表すことができれば完答できたと思います。個人的には、文章とグラフをつなげる栃木県の大問5は好きです。もし他県の生徒に教えることがあったとしても、栃木県の大問5はたくさん解かせると思います。受験本番ですら、大問5のような大問を4つ出題すれば、それだけで数学力を計れるのではないかと思っています。

 

【大問6】前半はとにかく書いて求める

教える先生も教わる生徒も「規則性」と一言でまとめてしまう大問です。

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だいたい最初の2問は数えればどうにかなるので、数学が苦手でもあきらめずに書いて答えてほしいですね。文章の長さに心折れることなく、地道に図を書くことが大切です。実は大問1の次にカンタンな問題です。

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偏差値65以上を狙うなら、最後まで解き切りたいですね。どのように考えるのか着眼点さえ間違わなければ難しくないのですが、限られた時間で解くには難問です。学習塾で教える先生も解説を読んで「なるほどね」となることも多かったです。作成する担当者の苦労もあるでしょうが、教えている現場では微妙な問題でした。トップクラスの進学校を目指している生徒以外にはスルーさせる問題です。

どうせ難しいなら動点問題や、円や三平方の定理を使うような図形の融合問題にしてほしいのが正直なところです。個人的には国語の古文と同じくらい不要だと思う問題です…

 

書きたいことを書いてしまいましたが、過去問をしっかり解いて

・間違った問題を解き直す

・難しい問題は飛ばす

・カンタンな問題は落とさない

これだけで偏差値60は目指せます。進学校を目指すなら、別に3年生になるまで待つ必要はありません。早めに過去問にチャレンジしてみてください。