栃木県宇都宮市で学習塾教室長を経て、現在は転職支援を行っています。専門は数学でした。「数学って何になるの?」というのは生徒からも人気の質問のひとつでした。質問しなくても、心の中では「こんなことやってどうするの?」と内心言いたくて、モヤモヤが加速している生徒も多いと察していました。
教育に関しては、どの大人も経験しているだけに一言でも言っておきたいものですが、それに漏れず私なりに勉強する意味、特に数学を勉強する意味をアドバイスしたいと思います。ちなみに私は大学では理学部数学科に進学、その後中退してアルバイト先に就職。40歳を超えてから数学と縁が復活して数検2級を1問ミスで合格しました。あなたが中学校や高校で数学で苦戦しているのであれば、こちらの記事を通じて少しでも数学力が上がることを期待します。
数学を勉強する意味はズバリ(と言っても3つありますが)
①解くための筋道を考える
②拡張しながらどんどん学ぶ
③やっぱり社会に出てから使う
ここだと考えます!もちろん数字に強いことは何かと役に立ちます。初対面の方でも、国語力はちょっと話したり文章を書かせるとわかりますが、数学力はここぞの場面で差が出ます。もちろん因数分解や連立方程式をビジネスで使う可能性はゼロですが、考え方で差が出ます。
ひとつずつ解説します。
①解くための筋道を考える
個人的にはこれは大きな意味を持っていると考えています。方程式、図形、証明、ただの計算から文章題までいろんな問題がありますが「どういう順番で考えよう?」「こうすればもっと早くラクに解けるじゃん!」など解くための筋道が重要なのが数学です。ここがメンドーっていう気持ちもわかりますが、これこそ数学を勉強する意味がありますね。
単語を覚えていればOKでは解けません。正確に早く解くための筋道(手順)を考えないと計算ミスが起きやすくなります。どうやって公式を使える形にするのか工夫も必要です。5教科ではもっとも解くのに時間がかかるのが数学です。
・何を聞かれているのか考える
・どうやって解くのか考える
・それ以外に早くラクに解ける方法はないか考える
・ルール通りに早く正確に書く
全部仕事をするときに必要な力です。
②拡張しながらどんどん学ぶ
なかなかピンとこないかもしれませんが、数学は連想することが大切です。しかも自分から連想できると数学を勉強する面白さが一気にググッと高くなります。算数だって最初は小さい数でしたが、だんだん大きな数になって、そのうち小数や分数が登場して、中学校に入ったらいきなりマイナスの数が出てきて…そんな感じで世界が広がってきました。
図形や関数だって同じです。だんだん広がってきて、それらが繋がっていることが実感できると「へぇ、こんな感じで繋がっていたんだぁ…」と卒業する頃には感慨深くなっていることでしょう。意外と小学校や中学校の教科書はよくできています。「今習っていることって、この先どうなるのかな?」なんて考える余裕はないかもしれませんが、仕事ではメチャクチャ重要です。
「この商品が最近売れているみたいだけど、その分売れなくなったものがあるのかな?」」
「この商品について調べたついでに、他に似たようなものがあるのか検索してみよう」
「昨日の失敗は残念だったけど、次はこうすればいいんじゃないかな?」
何にしても次に繋げる、このことを意識しましょう。数学の問題をいっぱい解いて間違えて、気持ちが折れるけどコツコツ解き直して、また新しい単元を理解して、これだけで点数が上がる以上のことをマスターできるようになります。数学の世界ってどんどん広がります。拡張って表現がちょっとわかりにくかったかな?
③やっぱり社会に出てから使う
売上とか利益とか、ビジネス上で登場する言葉があります。あまり社会の授業で教わることができないのは大問題ですね。
「お客さんの人数がどれだけ増えた」
「自社商品のシェアは○%を目指している」
「消費税が○%上がったら、売上が○%落ちた」
仕事の計画も結果も残念ながら?全部数字で表します。数字は世界共通の言葉で、あいまいなウソはつかないですからね。数字に強いことがどれほど重要か、仕事をしてみれば嫌でも思い知ることになります。上司や社長から「あれってどうなってるの?」って聞かれたときに、カッコよく「回収率は80%、満足度は60%でした」と数字で答えたいですよね。
もし「大人になってガツガツ仕事したくないな…」「ラクなことして過ごせたらいいのにな…」と考えているなら、それこそ数字に強いことが武器になります。お金の計算には必ず数学力が必要です。お金を使いこなせるにはどうしても数学力が必要です。数学な苦手なままでは、誰か得意な人を隣にずっと置いておくか、あなたの気持ちまでわかるAIを使うしかないですね。
最後に私なりに、数学の点数を上げるコツを紹介します。
数学が苦手な生徒は、私が見る限り確実に原因は「そもそも算数が苦手」です。これに関しては、多くの先生や講師が共感してくれるはずです。計算に抵抗があったり、図形が何それ?、割合とか単位とかマジ何?、算数なのに文章で問題が出ると「はぁ?」こんな感じで算数で苦戦していると、中学校に入っても苦手意識が先に乗っかってきますね。
中学1年生の数学は、見方を変えれば算数の遅れを取り戻すチャンスでもあります。マイナスと文字が登場しますが、基本的には算数の延長です。ここで同じ問題を何回でも解いて、とにかく計算ができるようにしましょう。計算でミスをするとどうしても点数が伸びないので、やる気が続きません。
自信がないなら、思い切って同じページを繰り返し解くこともオススメです。次々にいろんな問題に手を出すのが一番最悪です。同じ問題を繰り返すことは、正直飽き飽きするはずですが「どうせこの問題はこうするんだよね」と感じるくらいでちょうどいいです。