栃木県立入試問題、数学のポイントを解説する記事です。
とにかく栃木県の数学は出題傾向が変わりません。当然ながら模試も同じような出題傾向になるので受験対策がしやすい一方、本当に高校数学で必要な力が身につくわけではないので、個人的には全国比較でもイマイチな問題構成だと考えています。
グラフと他分野の融合問題もないし、確率や統計の大問もまず出てきません。思考力を問うような問題も出るのですが、ワンパターンな難問奇問ばかりです。
あくまで意見ではありますが、大問の構成や出題傾向をガラッと変えるべきでしょう。しかも毎年のように新しい分野を大問として投入してみたら「そうきたか!」って盛り上がりますし、幅広く受験勉強をするようになるのですが、問題作成者は例年と比べて平均点がブレるのがそんなに怖いのでしょうか?
いきなり文句ばっかり書いてしまいましたが、これから高校入試を迎える受験生に向けてポイントをまとめます。制限時間50分、毎年の平均点が50〜60点くらいになるように難易度調整をしているはずなので、過去問や模試を解いて50点に届かないようであれば、まずは「みんなが解ける問題を落とさない」ここだけに集中しましょう。
まずは模試でも本番でも、開始の合図があったらパラパラと全部のページに目を通すのがオススメです。「いつもと同じ感じの問題かな?」と思っても「あれ?初めて見るような問題かも…」と心配しても、どっちでもいいのですが、まずは全体像を掴むのはどの教科でもやるべきです。野球場の広さを確認しないでバッターボックスに立つようなものです。
では解説していきます。
大問1
大問1ですが、例年通り基本的な小問が14個並びます。
数学が苦手っていう生徒ほど大問1の失点が目立ちます。数学はカンタンな問題と難しい問題が見分けやすいので、基本問題である大問1を全問正解するつもりで準備しましょう。極端な話、平均点取れないんだったら大問1を徹底的に繰り返すべきです。
個人的には5問目の等式変形はぜひスムーズに解いてほしいところです。等式変形は、解き方がいろいろあるので実はどうにでもなりますが、ここはぜひ、イコールの性質を理解しながら最短距離を目指しましょう。数学力を鍛える練習になります。ここをダラダラ解いているようではいつまでもスピードが上がりません。とにかく最短距離で解くことを考えましょう。
大問1の後半ですが、最後の14問目が難しいかもしれません。
・平行四辺形の定義(2組の対辺がそれぞれ平行な四角形)
・長方形の定義(4つの角がすべて等しい四角形)
をせっかく覚えていても使えないので、図を書いてみて確かめるしかありません。あまり良心的な問題ではありませんが、いろいろ手を動かして考える意味では練習になると思います。
大問2
大問2は小問が3問あり、いつものように作図からはじまります。作図は中学1年生でしか習わないので、遅くとも2年生のうちに受験レベルに対応できるようにしておくと非常にラクです。確実に得点源にしてください。
確率はタテヨコの一覧表を作って素早く数える、グラフは文字を使って座標を表すことができれば対応できると思います。
とにかく大問1と大問2をほとんど落とさなければ、確実に50点は超えるようになります。繰り返しになりますが、数学が苦手であればあるほど、大問1対策、大問2対策に絞るようにしましょう。
大問3
大問3の1は恒例の連立方程式です。何を文字でおくのか指示されていますので、2つの等式を作ればOKです。x と y を合わせると40、ここは問題ないかな?もう1つの式はりんごの個数で等式を作ります。まずイコールを書いて、左辺も右辺もりんごの個数になるように x と y を使って表します。
例年のように大問3の方程式は教科書レベルなので、つまらない計算ミスをしないよう注意しましょう。x や y が小数やマイナスになりそうだったら、すぐに元の式を確認!で時間のロスを防ぎます。言ってしまえば「問題の文章の通りに等式を作る」これだけですが、苦手意識があるなら解答を写しまくるだけでもかなり練習になると思います。
2は資料の読み取りです。最近はこの出題傾向が見られます。「最頻値」や「相対度数」を求めるだけの問題は絶対に落としたくないですね。後半は、太郎さんが引越しをしても「中央値」が変わらなかった、ということはどういうこと?と連想できるかどうかがポイントです。資料の問題は力技でもどうにかなりますが、ぜひ口頭で説明できるレベルを目指してほしいです。
大問4
大問4の1は合同の証明です。「中点」というキーワードからどこまで性質を思い出して使えるか、ここがポイントです。
年度により難易度の高い低いが多少はありますが、基本的には合同や相似の証明は教科書レベルです。証明に自信があるなら、時間をかけずに一発で書き上げてほしいです。なかなか満点が取れそうにないなら、どうにかして部分点を狙う作戦です。どちらであっても、書いて手を止めて考えて、またちょっと書いて考えて…そんなリズム感がないような解き方にならないように、考えるときは問題用紙に書き込んでゴールまで考える、証明を書くときは解答用紙に一気に書く、とメリハリをつけて解くようにしましょう。
2の(1)は、計算しなくても△OBCが正三角形になることがわかってしまえば、暗算でも求められました。もし解き方がわからなくても、問題の図を見て「答えは6㎝くらいになりそうだな」と気づくといいですね。もちろんちゃんと解けた方が良いのですが、時間がなかったり、解けそうで解けない泥沼にハマりそうになったら、いったん解答用紙に「6」と書いておくだけでも気持ち的にはラクです。
(2)は恐ろしく計算が大変な年度もありますが、今回は比較的カンタンでした。図を見るからに「おうぎ形から三角形を引く」の方法しか解答が思い浮かばないのではないでしょうか…難関校を目指すなら、少なくとも大問4まではノーミスでたどり着きたいですね。
大問5
大問5は毎年のように一次関数です。今回は動点問題だったので、図を見た瞬間に絶望した受験生も結構いたのではないでしょうか。一見すると文章量が多くて、手が出ないイメージを持っている受験生もいると思いますが、前半は教科書レベルです。
関数は「グラフを読み取る」とか「グラフを書く」といった、基本的に手を動かして考える習慣ができているかどうか、分かれ道はそれだけです。意外とちゃんと理解するより、手を動かして体で覚える単元だと思っています。
3がちょっと難しいですね。y が△APQの面積を表しているので、間違いなく問題用紙のグラフを利用するはずだ!と気づけると、半分解けたようなもんです。台形BCSRを t を使って表すのが大変ですが、t 秒後の図を書いてみて考えましょう。「面積が同じになる」ということは「グラフが交わる」と連想する力が必要です。
この問題のポイントは、3回目に交わる時間をグラフを使って考える、ということですが1回飛ばすのも全然OKですね。
大問6
規則性、で定番の大問6です。
大問6の1は例年通り、頑張って書きまくれば解ける問題です。大問4や大問5で自信がない問題に時間を使うくらいなら、こういった力技で解ける問題をしっかり得点するべきです。
小問2からはちょっと難しくなりますね。a b c d と文字が増えてきたときは、文字の種類をまず減らす!を考えます。【作り方Ⅱ】の x 枚目を考えるために、1枚目と2枚目の関係、2枚目と3枚目の関係を比べてみましょう。面倒に感じるかもしれませんが、実際に書き出した方が結果的に早く解けます。
小問3は小問2の流れで解くことができますが、偏差値で60を目指すのであれば、大問5と大問6のどちらで満点を目指すのか見極めましょう。得意な分野、解ける問題で確実に得点する、この見極めこそが大問5以降の作戦です。「どうせ同じ問題なんて出ないのに、なんで過去問を解くの?」と生徒に何回も聞かれましたが、この見極め練習のためにも過去問を解くことは重要です。
模範解答
解答はこちらです。先にも書きましたが、自信がない問題、時間がかかってしまう問題、間違ってしまった問題、これらは思い切って解答を丸写しすることをオススメします。しかもリズム良く、サササッと書きましょう。なんかわかった気になりますよ。
受験のことを考えると、数学はぜひ力を入れてほしい教科ですね。
積み重ね教科なので、抜けがあったら大変という意味もありますが、私の考えでは以下の理由でオススメしています。
・カンタンな問題と難しい問題が見分けやすい
→つまり解ける問題にしっかり時間をかけられる
・1回でも点数が上がると下がりにくい
→出題傾向が大きく変わらないので、偏差値が安定する
ぜひ参考にしてみてください。