数学は新しい定義の連続ですね。高校数学になってからは、三角比、対数、微分積分のようにまったく実感が伴わない定義が増えてくるので大変です。
学習塾で教えるときには、新しい定義の登場はかなり気をつけて進めます。ここの定義がいつまで経ってもあやふやな状態で
「とりあえずこんな感じで計算できればいいんでしょ?」
と雑に進めてしまうと、定義を利用した解き方が出てきたり、定義を満たす範囲がわからなくなったり、お手上げになります。
ある程度演習ができるようになったら、もう一度定義に戻るステップが必要です。
中学校の数学では
・「円周率はこれからはπと表します」
・「 a を変化の割合と呼び、このように求めます」
のような、突然の決めごとの登場があります。
ここで「ふーん」で終わらせたり「えーっ」っていかにも拒否反応を示してくれたり、生徒のリアクションはいろいろあります。
このときに
・とりあえずこの通りにやってみよう!
・やってるうちに慣れるでしょ
と抵抗なく受け止めるのが大事です。
「まずはやってみよう」と正しい解き方をそっくりそのままできるようになれば、自然と定義もアタマに入っています。
結局「これが新しいルールですよ」と言われたときに、きちんとそのルールに従いながら意味を理解する習慣が、その先の勉強でも仕事でも活かされます。
少し話がずれますが、一見新しいことのように見えるけど、今までやってきたことの延長だねってこともあります。
連立方程式の解き方を教えたときに、最終的に
「x=▲、y=▼って形にするのは1年生のときと一緒だね」
「xとyの消しやすい方を消して、文字を一種類にするところが新しいね」
とまとめて理解してもらうことが大事です。
学習塾で教える講師は、今までと何が一緒で、何が新しいのかを整理してあげることで、後々の混乱を防ぎます。
学校ではどうしても教科書に沿って、導入から丁寧な説明をする流れになります。これはこれで必要なことですが、このあたりを効率よく整理してくれるのは学習塾を利用するメリットです。
私が思うに、数学は
・sin、cos、log、limのような新しい定義を受け入れる柔軟性
・今まで教わったことを拡張する柔軟性
の2つがポイントかなって思います。
論理的思考とかは次のステップでしょう。
柔軟性は、大人になってこそ身に付けたいですね。