学習塾の教室長として、日々の過ごし方についてのアドバイスをブログにして紹介しています。特に中学受験、公立中高一貫校を狙っているご家庭にとって参考になれば幸いです。
当教室には毎年100人以上の生徒が新規入会していますが、特に小学生以下のご家庭と新規面談する際にお願いしていることがあるので、その内容について紹介します。
算数や数学の受講を希望するご家庭が多く、こちらとしても提案することが多いのですが「日々の数字に関心を持つようにお願いします」と伝えています。
塾に入れてしまえば「やっと学習習慣がつくかな?苦手だった算数もわかるようになるかな?」とお任せコースを期待している保護者の方はびっくりするかもしれません。
「えっ、塾に入れたら全部やってくれるんじゃないの?」と思っちゃう気持ちはわかります。
塾を使ったら右肩上がりになるだろうと期待できるのは、高校生以上です。学習塾の高校クラスは、レベルがどうであれ、教えていることは教科書内容の理解とテクニックがほとんどです。この2つがクリアされれば、点数は伸びるしかありませんね。
ところが、小学生の場合は、教わる内容と日常生活が密着しているので、きっちり接続してあげないと全然効果がありません。
そんなに勉強ばっかりしてないし、塾にも行ってない。でも成績がいい。そんな小学生ってゴロゴロいますよね。アタマがいいわけではなくて、アタマを使う習慣ができているわけです。これが「日々の過ごし方」の差です。
スーパーに行くと、買い物にわざと2000円だけ持っていき、どこまで買えるか計算させている親子がいますね。こういうご家庭は、少なくとも小中学生のうちは大丈夫でしょう。独断ではありますが、勉強で苦労することはないと思いますね。
塾に通っている生徒にこんなことを聞いてみます。
「◇◇さんの家は、小学校まで何キロあるの?」
「△キロっていうことは何メートルなの?」
「歩いて何分かかってるの?」
「っていうことは毎分何メートルで歩いてるの?」
いきなりこんな質問をしたときに、小学校低学年で答えられる生徒もいれば、中学生でフリーズして再起動もできない生徒もいます。
塾講師ではなかなか解決できない問題です。小中学生でこのような底力を改めて身につけるには、日々の生活を変えるか、合宿でもするしかありません。
・車はだいたい時速何キロで走っているのか?
・牛乳パックには何ml入っているのか?
・20時の6時間後は何時なのか?
・50円のお手伝いを何回すればジュースが買えるのか?
このような普段の生活で出てくる話を「数字で実感」できるかどうかが分かれ目です。そういう意味では数学力の前に算数力がとても重要ですね。
細かく見れば、小数分数どうしの計算など実感が難しいものもあります。しかし、小学生の場合、ほとんどの教科書内容を実体験で説明できます。上のような問題をふと出せるかどうか、それだけです。大人側の準備としては「春に配布される教科書をパラパラめくってみる」これだけですね。
「へぇ、今年はこんなこと習うんだ」と知っていれば、天気予報の見方が変わるかもしれません。あくまで勉強の時間にしないことがポイントです。
自然に計算したり、アタマを使う習慣ができると、何を見たり聞いたりしても、できることがグイグイ増えます。小学生低学年のうちから気温を使ってマイナスの計算もできるようになるでしょう。算数に自信があるなら、高校野球の打率の話をしてもいいです。
我が家では長女中1と長男小1が一緒に高校野球を見ますが、出てくる数字の意味はほとんど理解してます。自然とライトとレフトの位置関係も覚えて、どの都道府県にどんな強豪校があるのか把握するようになってきました。何か興味を持ったらチャンスですね。私はあまり踏み込んで邪魔しないことだけ意識します。
各家庭でのちょっとした工夫が共有される仕組みがあったら面白いんですけどね。おそらく私の記事を読んだら「私はこんなことをやったら良かった…」みたいな成功例を思い出す方も多いのではないでしょうか。私も実践するかどうかは別として、いろいろ知りたいですね。別に必勝法はなくても引き出しがいっぱいあった方がいいのは間違いありません。
中学受験は、最初にご家庭で土台づくり、アタマを使う習慣です。そして学習塾でテクニックと志望校対策です。