学習塾教室長の経験から高校受験のアドバイスをまとめているブログです。今回の教科は数学です。
もともと緊急登板で3年程度学習塾部門で働いていました。
現在は人材ビジネスが業務の中心ですが、定期テストや入試対策のテキスト作成を行っています。テキスト作成をする準備として全国の過去問に目を通します。半分趣味ですが、今後の入試問題がどのように変わっていくのか考えています。これから受験を迎える中学生の参考になればうれしいです。
数学の出題傾向は激変
おそらくこの20年でもっとも出題傾向が変わった教科は数学でしょう。
生活で見ると、この20年で大きく変わったのは、スマホが浸透して、今やPCにできる仕事は全部PCで自動化させようと考え方も変わりました。この社会の流れと密接な関係があると感じます。
今の10代にはピンとこない話かもしれないですね。これから社会に出る学生達にはPCにできないことを求められています。AIが進化するほど人間の仕事の役割が変わります。
入試問題の話に戻ると、英語はどんどん難しくなっています。公立高校でも、英語は長文とリスニングだけというところもあります。社会は地理・歴史・公民の融合が中心になってきています。数学は圧倒的に文章量が増えて、読解力が必要になりました。
知識量だけを聞くような問題は全国的に減っています。トリビアを聞くような変な問題は減っているとは思いますが、その代わり基本的な知識はあって当たり前になっていますね。その知識をどう活用するのか、どう表現するのか、その次元になってきました。
公式に当てはめるのがゴールだった
もう20年も前の話ですが、アルバイト講師として全国規模の集団塾で教えていた頃は
「いかに見たことある問題にもっていくか」
「いかに公式を使える形にもっていくか」
が数学の得点力を決めていました。とにかく解き方の鉄則と公式がそこにはあり、それに繋げて解けばいいって考え方です。
ここ栃木県ではそうでもないですが、数学の入試問題の傾向は「これって国語ですか?」と一瞬思えるくらい問題文が長いです。そして「これって理科ですか?」と思えるくらい資料読み取りも出題されます。私が全国の過去問を見た印象では、岐阜県や滋賀県はこの傾向が強いです。東日本では青森県や北海道ですね。秋田県や愛知県も考えさせる問題が多いです。
数学で差をつけたい受験生にはぜひ一度解いてもらいたい良問が出ていますね。
数学に読解力は必要?
正直、こういった問題を解く読解力は高校数学の点数には直結しないと思います。
高校数学は「これが定義ですよ」とか「定義を拡張するとこんなことができますよ」が中心なので、ポイントを押さえることができれば平均点は維持できるはずです。計算力も必要ですが、定義を正確に理解できれば実はどうにかなります。
しかし大学受験も大きく変わります。共通テストのテストランでは読解力が必要な問題、論理的説明が必要な問題は予想以上に惨敗らしいです。こうならないためにも、先の都道府県の過去問は非常にオススメです。
これからも
・何かの動きを分析する問題
・資料を自分なりに理解する問題
・理由を説明させる問題
は出題のウェイトが大きくなるでしょう。
読解力~思考力~工夫力~数訳力~表現力、を一本の流れで問う出題傾向は加速する気はします。
ここはAIが不得意な領域だからです。数学はAIとの繋がりが太い教科だからこそ、グチャグチャになっているだけの問題、難しければいいって問題は減っていく気がしますね。
私自身も教材作成を行いますが、数学を通じて何を教えたらいいのかな?とふと振り返ることが多いです。参考にしていただけると幸いです。