今回の記事では、学習塾を運営(経営)している方を対象に、生徒数をグングン伸ばすためのポイントを紹介します。個別指導塾での教室長経験を中心に解説しますが、集団塾であったり、極端な話、集客型のビジネスであれば何にでも通用する内容だと思いますので、参考にしてもらえると幸いです。
私が赴任した個別学習塾の教室は、その当時で生徒数140名程度、小学校から高校生のクラスまでありました。別な事業部から代打で異動して、赴任直後の運営は散々なところからのスタートでした。(詳細は別な記事で紹介させていただきます)
ある程度の体制が整って、生徒や保護者の満足度が安定したタイミングで、生徒数増加を目標に取り組んできました。理由は単純で、経営的には人件費を適正にしながら粗利を上げる努力をするべきですが、現場で働く講師にわかりやすい目標を設定しました。
その目標は「直営教室、FCフランチャイズ教室を合わせて1000校以上あるなかで、生徒数1位になる」でした。その時の1位は関西の方にある、行ったこともないエリアの教室でしたが、生徒数180名くらいだったので充分狙えると感じていました。
生徒数増加に向けた取り組みの中心は、生徒紹介を増やすことでした。サービス業で勤める多くの方々が痛感していると思いますが、まったく接点がないところからの集客よりも、紹介で顧客を伸ばすのが王道です。以下のような理由です。
・クロージング率が高い
・競合との比較になりにくい
・すでに顧客同士の関係性があり安心
・そもそも、紹介してくれた方が満足している
学習塾では、顧客が生徒にあたるわけですが、まったく同じことが当てはまります。生徒の場合は、月謝とか移動距離とか、大人が気にするポイントを飛ばして考えてくれるので、より顕著です。
少し脱線しますが、キャンペーン以外で紹介がまったくされない教室だとしたら、何かしら問題があるはずなので、そちらの改善が最優先、というか「それしかやらない」で運営するべきです。
結果的に184名まで伸ばすことができて、全国1000校以上のうち2位になることができました。非常に残念ながら、ハードの限界があったり、逃げ切られて1位には届かなかったのですが、狙った生徒数を確保できたことは講師を巻き込んだ教室全体の成果です。
この紹介ですが、効率よく結果を出すポイントが3つありますので、解説していきます。
①紹介キャンペーンを頼りにしない
これは意外と重要です。多くのフランチャイズ展開をしている学習塾は、春前や夏休み前に決まって紹介キャンペーンを設定します。ということは、自分達が紹介キャンペーンで生徒数を確保したい時には、競合が多いということです。私は教室長として以下のような考え方でした。
・紹介キャンペーンのように、金銭的なメリットがある状況で集客できるのは当たり前、差別化だけを考えれば良い
・紹介キャンペーンは、本来は教室の都合で行った方が効率が良い
つまり「今なら生徒に対して、紹介の声掛けをするべき」というタイミングを見逃さない、ということです。定期テストが終わったタイミング、優秀な講師を採用できた、週何回も来ていた生徒が退塾しそう、等々いくらでもあるのですが、先にも書いたように、教室長の判断で「1ヵ月後に向けて増やそう」と考えるべきです。
②紹介してくれた生徒に、また紹介してもらう
ある意味、これが正解です。社会人になって営業や販売を行ったことがある方であれば、共感できると思いますが「買ってくれない方に買ってもらうより、買ってくれた方にもっと買ってもらう方がラク」ということです。
紹介キャンペーンを展開すると、全生徒(全保護者)に対して案内をすることになると思いますが、前向きに動いてくれるのは一部なはずです。「友達を誘うのはちょっと…」という生徒に「誰かいない?紹介してよ」と何度もプッシュするのは、まったく効果がありません。むしろ紹介できない理由を言わせる悲劇が生まれます。
教室長として最優先するのは、1回でも紹介してくれた生徒です。「他にいないかな?」の一言で済むからです。明らかに営業トークだと嫌がられますが
・教室長が言うんじゃ頑張ってみようかな…
・ひょっとして頼りにしてくれている?
・そういえば、悩んでいる友達いたな…
みたいに連想してもらえれば、こっちのものです。あくまで一緒に通える友達が増えた方が、誰にとってもメリットは大きいと思いますで、担当している講師を巻き込みながら個別に提案を考えてみましょう。
③競合を間違えない
私自身、学習塾の運営はシロートからのスタートでしたので、生徒数を増やす戦略はうまくいかない結果も多かったです。その最大の要因は、戦略の前提となる競合を間違えていたことです。
戦略ミス「まだ塾を使っていない家庭をターゲットにしょう」
→これを狙う気持ちは理解できますが、一大決心で入塾する、それに合わせた生活スタイル(家計や送り迎え)に変える、そしてこの教室を選ぶ、のように超えるハードルがいくつもあることがわかります。保護者がかなり前向きな状態で説明会に来てもらえればクロージングできるでしょうが、紹介キャンペーンには向かない戦略です。
戦略ミス「他の個別指導塾よりも、合格実績を上げよう」
→これは切実です。合格実績は教室長として、自分の成果に直結しますし、集客にも大きく影響を与えます。しかしながら、受験生でもない限り合格実績は二の次です。今まさに、何かに悩んでいて、それをクリアしたい生徒(保護者)が溢れています。ですので、合格実績を掲げるよりは「その悩みをクリアにできる教室なのか?」に注力した方が良いですね。
この戦略ミスは、完全バツではありませんが「すでに他の塾に通っている生徒の方が、すんなり転塾しやすい」ということです。ここでも「置いてある石を動かすより、転がっている石の方向を変える方がラク」という考え方です。集団塾が合わなかった…家庭教師だと集中できない…自習室の環境が整っていてほしい…のようなニーズに対して、あなたの教室の強みを当てはめればOKです。
現在はマーケティング領域の仕事をしているので、少しその切り口も混ぜながら集客方法を紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。