学習塾で教室長として勤めています。年に数回程度ですが他塾や教育業界の方々を話す機会があります。いろいろ感じることがあるのですが、今回の記事で私なりに「教育業界で働く人は何を考えているのか」まとめたいと思います。
栃木県にて、学習塾協議会主催の入試分析会に参加したときの話です。途中から脱線どころかまったく本題とは違う雑談になり、入試分析とはまったく関係のない話題で盛り上がりました。
「個人塾で何十年ずっと続けてきたけど、もうそれなりな歳だし、閉めちゃって教育ボランティアでもしようかと考えている」
と言い出した小さな学習塾の代表がおりました。年齢的に引退を考えている経営者が他にも数名おり、同様の想いを話してくれました。
私自身も数年先、3人いる子どもが大きくなって環境が整えば(家族が納得してくれれば)教育ボランティアをしようと情報収集をしていたので
「あ、同じこと考えている人がこんなにいるんだ」
と驚きましたね。
私が住む栃木県だけではないと思いますが、経済的な理由だけでなく、地理的な理由で学習塾に通えない生徒が全国たくさんいるはずです。どうしても塾の立地条件は集客効率や経営効率を考えると、生活道路沿い、新興住宅地、学校周辺がターゲットになります。
北陸や秋田県のように家庭学習の習慣が完成しており、三世代同居の多い地方の学力が高いのは注目するべきことではありますが、学習塾を活用したい、頼りたいご家庭も多数あるはずです。行政でも教育ボランティアを啓発していますが、まだまだ支える側の人数も金額も不足しているようですね。
当塾でも実際に、10キロの距離を母親の送り迎えで通塾してくれる生徒もいました。他の兄弟もいて母親も仕事をしているとご家族の負担が大きく、私自身は教室長の立場でありながらも複雑な思いで見ていました。
環境的に余裕があって送り迎えをしてくれているならまったく構わないのですが、お金もかかる、時間も取られる、当の生徒本人は疲れている・・・みたいな悲壮感があると、こちらとしては燃えますが、結局続けられない・・・という残念な結末もありました。
同じような光景は全国各地の学習塾でも見られるのではないでしょうか。経営とは別に「なんとかしてあげたい!」と思う経営者、講師がたくさんいると想像します。引退して、自らの教務経験と専門知識を活かして、教育ボランティアに参画するのであれば手放しで応援したいです。私もできる範囲で参画します。
技術的には、リモート授業やWEBやSNSを活用した授業など、どのような環境でも教育環境を整えるアイディアはいくらでもありそうです。教育業界もIT活用が当たり前になりました。金銭的なハンディキャップ、距離的なハンディキャップを大人からの歩み寄りとテクノロジーの活用で解決したいです。テクノロジーはフェアプレーのためにこそ進化してほしいですね。