中3数学のつまずくポイント【高校受験と高校数学につなげる】

学習塾教室長の視点で高校受験に向けたアドバイスを書いています。中学3年生やご家庭はもちろん、教える立場で日々受験に向き合っている方にも参考にしてもらえるとうれしいです。

今回は中3数学について、受験を左右する単元や中身についてまとめます。

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全体的な教科書の構成としては、最後の方で扱う「相似比の利用」と「円の性質」のボリュームが重いので、前半でつまずかないことが大切ですね。メチャクチャ難しいことを教わるわけではないのですが、受験レベルの問題になったときにグラフや証明問題と混ぜてガラガラと混ぜやすいです。

問題作成者の立場で考えると、面倒で複雑な図を出して受験生を困らせることができる単元なので、難易度調整の役割を果たしているとも言えますね。全国の過去問を見ても図形の難問は、飛ばす飛ばさないの判断が最大のポイントだったりします。

 

「相似比の利用」と「円の性質」は教科書の例題と高校入試の過去問では難易度がかなり違うので、極端に考えれば、中3の秋冬は図形問題に集中したいです。ここで方程式とかに時間をかけていると危険なペースですね。


中3数学の序盤は、平方根の理解とルートの計算です。

「25の平方根は?」

「ルート25は?」

を区別するのはもちろんですが、これを「九九のスピードで」反射的に返せる必要があります。

「ルート12は?」

「ルート50は?」

「ルート1000は?」

くらいは即答できるまで練習しましょう。即答できるレベルでないと過去問を解くときに時間がなくて終わらないんじゃないでしょうか。高校数学でも大活躍する「解の公式」を自由自在に使いこなすこともできません。

2乗の数(4・9・16・・・)にピンとくるまで繰り返し練習が必要でしょう。

教える側は
平方根~展開~因数分解~2次方程式~2次関数、までの大きなつながりをちゃんと理解させれば、意外と一気に駆け抜けられると思います。ここも展開を公式で瞬殺できるかどうかがポイントです。瞬殺できないと次の因数分解で困る!ということを先に教えることが大切です。

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2次関数(という言い方は中学校ではしませんが)は、文章題として大問をつくるのが難しいです。身の回りの現象とつなげることができないので「ブレーキと制動距離の関係」みたいな生活感のない問題になってしまいますね。受験では平面図形との融合問題で出ることが多いです。

また高校数学では2次関数のグラフが文系にとって鬼門です。中学数学で「交点の求め方」「グラフの傾き具合と変化の割合の関係」をしっかり理解しましょう。その意味では、変化の割合を求める一発公式は個人的に好きではありません。


相似の証明はそれほど難しくないのですが、相似比を利用して長さを求める問題が偏差値50のカベになりますね。必要な図だけを抜き出して図形の性質を当てはめていくわけですが、慣れが必要です。

あえて「直角」というキーワードを入れないで円の中心から気づかせる…やけに「中点」というキーワードが入っていて、やっぱり中点連結定理を使う…という具合です。いかにキーワードから図形の性質を連想できるかが勝負です。


円の性質も同様ですね。性質自体は「ふーん」という程度のものですが、図の中から見抜けるかどうかです。あまりこういう言い方は好きではありませんが「顔見知りの問題を増やす」という気持ちが必要です。ここで相当練習しておけば高校数学の平面図形でも役に立ちます。意外と大学入試の数学では、中学数学までの知識で解ける問題もありますね。

 

 

最後に、難関校に挑戦する受験生は

「問題作成者の意図を読む」「問題作成者と対話する」

といった意識が必要です。

学習塾を利用している受験生は、ぜひ「この問題は何がポイントだったのか」聞いて確認してほしいです。教える塾講師は「この問題は何の力を試したかったのか」まで伝えましょう。必ず成長できます。

 

大学受験では誘導問題が増えます。「誘導に乗っかる力」を高校受験を通じてマスターしましょう。参考にしていただけると幸いです。