平成31年度(2019年度)栃木県立入試【社会は定期テストで融合問題に慣れておこう】

平成31年度栃木県の県立入試、社会の解説と対策を紹介します。学習塾教室長の立場も入れながら書きたいように書いていますが、受験生やこの先受験を迎えるご家庭に貢献できれば幸いです。

 

先日行われた栃木県の県立入試、社会について解説します。問題構成、難易度は例年並み、個人的には「キュウリの旬、出荷量、値段の関係」が出題されたのは面白い問題だったので、本題の前にいきなり寄り道したいと思います。


・お金がどのように世の中を流れているのか
・お金の価値はなぜ変動するのか
・需要と供給のバランス

そして
・どのように人も企業も稼ぐのか
はもっと授業のなかで取り扱うべきだと思っています。

関心があるだろう、というのもありますが、一生必要な知識だからです。


社会人になってから
・生命保険って何?
・投資ってなんだか難しそう
・なんでこんなに手取りって少ないの?
・転職って良いこと?悪いこと?
みたいなゼロスタートがない方がいいですね。


中学校社会を古代文明からやってるうちは、社会アレルギーの生徒を増やすだけではないでしょうか。アレルギーならまだいいかもしれません。
「社会なんてやってどうするの?」
とメキシコ国境並みに壁を作ってしまったら、そこから振り向かせるのは相当なエネルギーが必要です。

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前置きが長かったですが、以下内容です。


大問1 小問集合は安定してますね。小問だけで大量に出題して50点の配点で出しちゃうとか、大問に全部含めちゃって、なくなってもいいかな、と毎回思いますね。存在感、難易度ともに中途半端です。いろんなことをポツンポツンと聞くのは、社会は暗記教科ですよって宣言しているようなもんです。


大問2 あすかさんがインド旅行に行くという、なかなかのスパイスが効いた設定です。米と小麦の生産量の比較、降水量の比較、など資料読み取り型の問題が序盤からあるのは挑戦的でいい感じです。小学生でも解ける問題ですね。このような、考えればなんとかなる問題は好きです。


大問3 九州地方についての大問です。他の地方との関係も普通に絡めて出題されているので、ここも資料の意味をしっかり読み取ることが必要でした。
一覧表、棒グラフ、折れ線グラフ、それぞれを丁寧に読み取る練習あるのみ、ですね。細かい数字は抜きにして「比べる見方」を意識しましょう。


大問4 かなり長い時代に渡っての断片的な情報を整理する問題でした。5人の女性にフォーカスしているのは面白くてチャレンジングですが、あまり解答には関係なかったのが残念です。
小問が並んだような脈略がない構成ですが、最後に全体の並べ替えがあり、うまくまとめていますね。受験生は出題形式に惑わされないことが大事です。


大問5 オリンピックの歴史を振り返りながら、冷戦時代を考えます。聞いたことがある生徒にとってはかなりカンタンに解けたと思います。今の世界情勢につなげられる話題なので「これが社会を勉強する意味だぞ」という問題作成者の意気込みを感じます。


大問6 公民の大問ですが、ここも小問集合のような構成になっていてもったいないです。公民こそ会話形式のような爆発的に盛り上がりのある内容にしてほしいです。聞いていることは難しくないのですが、知ってる知らないが問われるだけなので、あまり面白くはないですね。


大問7 よく定期テストでも見られる地理、歴史、公民のシャッフル型の問題です。県立の場合はエリアが広くなるのでちょっと無理がありますが、普段からつなげて考えることができるかどうか勝負でした。
いちいちつなげながら暗記する、というより問題文のキーワードからどこまで連想できるか練習する必要がありますね。一問一答ばかりだと太刀打ちできないタイプの問題です。

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社会は理科と比べると、地理、歴史、公民を混ぜたり、幅広い分野をひとまとめの大問に構成したり、圧倒的に自由な問題作成ができます。定期テストの過去問を比べても、作成する先生のカラーでかなり変わりますね。


受験対策をするときには、栃木県の過去問はもちろん、いろんな都道府県の過去問にチャレンジしてほしいですね。それだけでも対応力は上がりますし、大人が見ても見識が広がるっていうか勉強になります。