平成31年度(2019年度)栃木県立入試【理科は融合問題が作れないので、分野ごとに対策を】

栃木県の県立入試、理科の解説と対策を紹介します。学習塾教室長の立場もありますが、個人的な好き嫌いも含めてまとめていきます。受験生やこの先受験を迎えるご家庭に貢献できれば幸いです。

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平成31年度の県立入試、理科について解説と感想を書きたいと思います。


感想と書いたのは、試験問題のひとつに東日本の地震をテーマにしたものがあったからです。もうすぐ3・11を迎えるタイミングで、東日本の地図をドンと入れてきて地震に関する問題だったので、正直びっくりしました。


沿岸の3県ほどではありませんが、栃木県も大きな被害を受け、受験生は7才、8才だったはずです。しばらく地震の大問は出題されなかったのですが、今年登場していろいろ考えさせられましたね。


内容については、大問構成は変わりません。


大問1の小問集合を除けば、残りはすべて図やグラフが入っており、受験生にとってはパッと見て「あー、あの問題ね」と思い出せるかどうかが勝負です。
形は変わっても、教科書に出てくるようなテーマが中心です。いつも学校の授業で、図やグラフの意味を理解しているかどうか、理科に対する真剣度を聞いているような問題が並びます。


指導する側としては、過去問を準備して

「これは何の問題?」「これはどういうこと?」

と生徒に説明させまくるだけでも得点力は上がります。


今回の理科、難易度はいつもと変わらない印象です。


大問2 食物連鎖はとても好きな問題です。計算とかあるわけではなく、ちゃんと読んで頑張れば小学生でもできそう、という良問ですね。


大問3 沸点について考える問題ですが、ほとんど教科書レベルなのでスイスイ解けたのでは。こういうところで点数を落とすと怒りも沸くかもしれません。


大問4 電磁誘導は問題文が長くて、一旦飛ばした生徒もかなりいたのではないでしょうか。エナメルって何?となった生徒は絶望感を味わったことでしょう。

電流の分野は本当に差がつきます。シンプルに電線をつないでオームの法則を使う大問でも完答が難しかったり、電力量の問題は生徒が慣れていなかったり、電磁誘導と誘導電流って何?とか混乱するレベルです。中3の夏休みに徹底して、電流と天気を得意分野にするだけで、確実にアタマひとつリードできます。


大問5 天気の分野ですが、ここも気圧配置を箱の中で実験するという、実験アレルギーの生徒はしびれる問題でした。細かい数字はあまり意味がないっていう変わった問題でしたね。


大問6 中和の問題でしたが、全体の難易度バランスを考えて易しくアレンジしたような形跡がありますね。いきなり、メスシリンダーの目盛りを読み取る問題なんて入れちゃって、ホントはどんな問題だったの?と聞きたくなります。


大問7 エネルギーの問題は設定がどんどん変わったりするので、嫌いじゃないけど点取れない、みたいな生徒が多い印象です。理由を説明させる記述問題をドンと入れても面白かったと思います。


大問8 地震の問題です。全部解くとボリュームがあるので苦労したかもしれません。


大問9 最後は試験管を使った植物の呼吸、光合成から一気に、地球の二酸化炭素濃度まで話題をジャンプさせてしまいました。話は一応つながっているのですが、こういう問題を会話形式でうまく作れないのが、栃木県のちょっとした弱点です。


理科はとにかく、図やグラフもアタマに入れながら勉強することです。ここを徹底すれば、問題文を読む前から分野を察することができます。また社会と異なり、違う分野との融合問題をつくることができないので、苦手分野をひとつずつクリアすることが大切ですね。

受験対策の基本パターンは

【植物・動物・光・音・力・仕事・大地などの暗記分野】

【化学実験・電流・天気などの計算力分野】

【イオン・遺伝・天体などの想像力分野】

の順番がオススメです。

苦手分野の大問でも50%以上得点できれば、偏差値で60は安定して取れるようになります。頑張って作戦を立てて、できる分野を増やしましょう。