栃木県立入試の傾向と対策【高校受験 数学】

私は現在、栃木県の個別指導塾で勤めています。

毎年当塾の高校受験生のために、全国の入試問題を集めて分析して予想問題の作成を行っています。私自身も参考書の出版も行っていますが、数学に関して傾向と対策をまとめますので、高校受験生やご家庭、または教える方の参考にしてもらえるとうれしいです。

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栃木の県立入試が前提ですが、多くの内容が他の都道府県で通用すると思います。

大問1ですが、ここの大問はどこの過去問を見ても基本計算の集合ですね。ほとんどの都道府県で当てはまります。偏差値45まではどうにかして大問1を落とさないことが最優先です。

模試を受けたときに、大問1で半分取れていないなら、極端な話ですが定期テストよりも大問1の対策をするべきですね。

栃木県の場合は大問1の配点は32点です。平均点が50点台の県立入試で、大問1で32点取れるかどうかはかなり大きな差になります。一発計算で求められるものばかりなので、ここで落としたらどこで得点するの?ってくらいです。


大問2あたりから特徴が出てきます。

栃木県では大問1の延長でちょっと難しい問題が並びます。他県ではいきなり融合問題になって考えさせるところもありますね。

若干話が逸れますが、全部で大問4までしかないような県もあります。ひとつの大問でいろいろ設定が変わりながら展開していくのですが、見ていてスゴイと純粋に思います。難易度調整や問題作成に相当な労力をかけていることが想像できます。

 

大問2は作図、確率、近似値、平均値、合同証明など1〜2年生で教わった内容を落とさないことがポイントです。数学や英語のように学年が上がるほど難しくなる教科は、2年生までの範囲でしっかり得点することができるかどうかが偏差値50の壁です。

そのポイントは3年生の夏休みですね。部活で最後の大会を迎える3年生も多いでしょうが、学校の授業が進まないこの1ヶ月でいかに集中して2年生までの復習ができるか頑張りましょう。


大問3は前半のヤマ場ですが、栃木県では日本語たくさん、方程式の文章題が多い傾向です。全国的には図形や関数の応用問題が多いですね。差をつけることが目的になってくるので(1)(2)(3)と順番にしっかり解きましょう。(1)を間違えたせいで、その後全滅というシーンを何度も見てきました。

教科書の例題レベルのパターンがほとんどですが

・何を与えられているのか

・何を聞かれているのか

読解力、日本語力も必要とするところがポイントでしょう。

栃木県に関しては、あまり高校数学ではやらないような物語風の問題を「受験のためだけに」頑張る大問です。高校数学では買い物したり追いかけっこはまずやりません。日本語を数式で表す「数訳」のスキルは練習できますが、これが全体の学力にどうプラスになるのかは私にはうまく説明できません。残念ですが。


大問4以降になると、ほとんどの都道府県で

・図形の証明+図形の性質

・図形の性質+グラフ

・グラフ+文章題

のような融合問題を出題してきます。

偏差値で65以上を目指すなら作戦が変わりますが、ここから先は「1点でも取りにいく」という攻め方に変わります。カンタンな問題を落とさない作戦は終わり「点数にならないなら飛ばす」という考え方が必要になります。

 

頑張れば解けそうなんだけど…というところまでいくと頑張っちゃいそうですが、これが危険です。特に証明問題や記述問題では部分点をもらえる可能性がありますが、単純に「長さを求めよ」「面積を求めよ」みたいな問題は答えがピッタリ合わないと点数になりません。

勇気を出して飛ばすことができるようになると、数学や国語の点数は伸びやすいですね。この分の余った時間を難問に使って砕けるのではなく、さらに見直しに使ってポカを防ぐことで点数が安定します。

理科や社会なら知ってる?知らない?で問題を飛ばせるのですが、直感的に「この問題は難しい」と判断するにはある程度練習が必要です。それだけのためにも、中3になったら模試は全部受けましょう。

 

過去問でも最後の方はいかにも受験レベルって問題が並びますね。

考えさせる良問もありますが、ただボリュームが多いだけで大問や1回では読み取れないような文章題を出題するところもあります。

都道府県によって相当出題傾向が変わるので、ここでは突っ込んだ内容は触れませんが、共通するのは

「初めて見るような設定を読み込んで」

「ここで登場するルールを理解して」

「解くための筋道を考えて」

「工夫して近道で解答する」

 というプロセスです。

まるで仕事をしているのと変わりませんが、一言で表すと「筋道を考えて工夫する問題」と言えそうです。私自身も著書で「プログラミング問題」と呼んでいます。

この「筋道を考えて工夫する能力」を鍛えるには数学はピッタリの教科です。反対にプログラミング教室を覗いてみても、数学ができる生徒はプログラミングもできます。

 

 

ぜひ高校受験だけでなく、将来も役に立つ能力も磨いてほしいと願います。

数学は私の専門なので、思わず話が飛躍しましたが高校受験に戻します。数学の取り組み方です。だいたい生徒指導をしていると、過去問の前半を完答して、後半の大問のうち得意な分野を完答すれば偏差値60です。

数学の場合は大問の並びがカンタンな順に作成されることが多いので、作戦を立てやすいと思います。過去問に挑戦するときは、前半を落とさない、後半は解ける問題で確実に取りにいく、を意識しましょう。

参考にしていただけると幸いです。