私は学習塾の教室長として、新規面談を行う際は2つのことを中心にヒアリングしています。ひとつは学習塾に入る目的です。これはこれで、大切ですがもうひとつ「学習塾をどのように利用しようと考えていますか」は大切なことなので必ず確認します。
一番困るのは投げっぱなしですね。
「塾に入れればなんとかなる」
「センセイにお任せします」
というパターンです。
実は、入塾してもらえると運営上はかなりラクなご家庭になります。
・プランはこちらの提案通り
・保護者面談も割と盛り上がる
・季節講習もどんどん申し込む
と、何から何まで本当にありがたいのですが、教室長と保護者だけで話が進んでいきます。つまり、本当に「お任せします」だと生徒本人の意志が反映されなくなります。
こうなると、受験期に困ることが起きます。
・いざ志望校を決めましょう
・面接対策で将来のことを決めておきましょう
となったときに生徒は絶望的な、王手を指された状態になります。もう自分の動ける範囲で、考えられる範囲で、逃げるように考えなきゃならない...これは本人もツライですし、見ている方もツライです。
・何しに塾に行くのか
・塾とはどう付き合うのか
本人主導で先に決めておくと、進路指導やモチベーション管理はスムーズですね。
当然
「とりあえず自習室を自由に使いたいので」
みたいな付き合い方をイメージして入塾した生徒は
「オレは夏期講習行かなくてもいいかな」
「理科社会は自分でやるんで別にいいです」
と意思表示もはっきりです。経営的には、一瞬だけマイナスです。しかし、このような生徒は、自分で成績を上げるモチベーションがあるので助かります。
学習塾では、その生徒に合わせた授業を計画的に進めます。それはそれで大切なことですが、なんだかんだ言って一番のミッションは「モチベーション管理」です。
励ましたり、気づかせたり、叱ったり、ある程度仲良くなって信頼関係をつくったり、ほとんど学校とかご家庭でもできることばかりですね。
・受験のことは塾で相談する
・勉強のことはわかる人に聞く
それくらいの付き合い方でも充分です。
・親は全部任せる
・生徒はされるがまま
この状態にならないように、周りの大人も注意です。
少し、モチベーションの話に戻ります。学習塾がクラス分けするのも、順位を意識させるのも、学校の授業を先取りするのも、多くの場合「モチベーション管理」が目的です。
ここを、学校~ご家庭~学習塾でうまく連携することを考えましょう。
教育に携わるものは「モチベーション格差」をどう解決するのかが課題です。
成績が伸びる生徒に共通するのは
「塾は頼るんじゃなくて、使うもの」
という意識です。
モチベーションが塾との付き合い方に現れます。
ここの意識まで持っていけないと
「合格したはいいけど、この先大丈夫かな」
と本末転倒な心配をしてしまいます。
良い塾選びの参考になれば幸いです。