新しい時代にどのような教育が必要なのか、キャリアコンサルタントの視点と学習塾教室長の視点からまとめたいと思います。これから中学受験、高校受験を迎えるご家庭を中心に何かしらのアドバイスとなれば幸いです。
わかりやすく5教科に分けて解説します。
まずは英語です。英語は大学入試改革でもっともメスが入れられて、4技能をマスターした大学生を増やしましょう、とかなりの本気を感じます。大学に行ってからせっかくの4技能が落ちなきゃいいのですが…
今後世界の中心は中国になるだろう、中国を抜いてインドが人口世界一になるだろう、東南アジアや朝鮮半島の潜在能力は無視できないだろう、人口増と自由競争を背景にアメリカが相変わらず世界をリードするだろう、いろいろな予測が溢れています。何語が話せれば仕事で有利、とかあるのでしょうか?
英語を勉強することはひとつの通過点で、結局大局がどのようになろうとも対応できる能力が必要ですね。英語って4技能とかどうとか言うけれど、上手にマネできればいいんでしょ?と思います。上手にマネができれば何語が世界の主流になろうとも大丈夫です。
勉強においては、英語はマネするスキルを意識することですね。仕事も勉強もマネすることからはじまります。「徹底的にマネる」「徹底的にパクる」という言い方でもいいですが、英語に限らずこれが確実に近道です。
「この通りにやってみよう」
「同じように喋ってみよう」
という教え方、教わり方はある意味一生続きます。残念ながら私も40代になってマネする重要さを痛感していますね。
数学はプログラミング能力が必要です。プログラミングというのは、キーボードをカチカチすることではなくて「筋道を考えて工夫する力」という意味でここでは書いています。
数学はどうしても算数の延長というイメージがあるので、計算する力、グラフを活用する力、図形を見抜く力をマスターすることに注力してしまいます。実際、最後の得点力を分けるのは計算力だったりします。しかし、社会に出てから使う能力で考えたら、圧倒的に「筋道を考える力」です。
中学受験では適性検査、高校受験では総合問題、融合問題、論理的思考問題が当てはまりますが、言い方が違うだけで目的は一緒でしょう。
「どのようなルールがあって、何を聞かれていて、どのように考えるのか」
というステップを踏むのは一緒です。
プログラミング能力は教科書では学べない内容なので、普段の考え方や専用の勉強が必要です。小学校でプログラミング授業を入れたって大幅には変わらないかもしれません。
さらに数学は、問題を読む時間、筋道を考える時間、解答を書く時間、それぞれが長いので「理系はメンドくさいな」ってなる生徒が非常に多いです。ここで
「先生の狙い、読み取ってやるぜ」
「もっとカンタンに解く方法ないかな」
「なんで間違ってしまったのかな」
って考えられたら、自動的に数学伸びます。
理科は、発見当時は「世紀の大発見」だったので本来はそのストーリーを伝えて理解することが重要ではないでしょうか。そこまでやらないと、理科の授業を通じて興味が芽生えて、将来イノベーションを起こすまでは期待できないですね。
そのへんのドラマチックを先生と共有できるのが理想です。ですが、現実的に先生にもそんな余裕ないと思うので、いかにご家庭でいろいろな体験をするかに左右されてしまいます。理科の内容をひと通り学びながらも、家事や手伝いなどを習慣的に行うのが大切ですね。
社会は、地理、歴史、公民すべて今に繋がっているので「今何が起こっているのか」に興味を持つようにする。これに尽きます。どれだけ周りの大人が子どもの前で、地理、歴史、公民に関わっているのかを見せなきゃならないので、ちょっと大変ですね。
教科書の構成も今に関わる分野からスタートしないと、生徒が興味を持つのは難しいかなと思っています。世界地理や古代文明からのスタートでは、あまりに実感がないので「社会なんて興味ない」って言われてもしょうがないですね。
反対に、世界地理はもっと小学校の段階で本格的に扱うべきでしょう。EUの問題、メキシコの壁、米中貿易戦争、せっかくの話題を小学校のうちに意識できるとかなり違うと思いますね。
理科と社会は「好奇心」がキーワードになるでしょう。「好奇心」を伸ばすのは、学習塾では限界があるので、小学校入学前にどれだけ好奇心を爆発させるかがポイントです。なかなかご家庭では難しいかもしれませんが
・大人が新しいことに挑戦する姿を見せる
・子どもが興味を持つこと、動くことを邪魔しない
これだけですが、私も3人の子育て中なのでそれどころではないって気持ちもよく理解できます。邪魔しないっていうのが意外とストレスになりますね。
国語は、私はサラリーマンとして働いている今、一番重要性を感じる教科です。言葉の意味と種類をどれだけ持っているか、会話と文章でだいたいわかります。国語力が何をするにもベースになりますね。
国語の授業を通じて
・読書の疑似体験を通じて、言葉の意味と種類を増やす
・何かと何かを比較して表現する
・相関関係と因果関係を区別して表現する
といった練習を行うことで、社会に出てから役に立つスキルが身につきます。
・相手によって言い方を変える
・正確に理解して、自分なりにまとめる
・自分の言葉で再表現する
何から何まで、全部一生使うような大切なスキルです。
勉強するうえでは、ここを「読書習慣」とか「文系理系」とか、変な話にすり替えないでひとつずつ義務教育としてクリアすることですね。ちなみにですが、これらのスキルが身につくわけではないので、中学校の古文や漢文は一切不要と考えています。
以上、私なりの5教科勉強する理由です。ぜひ点数を上げるだけでなく将来のキャリアにつながるよう、参考にしていただけると幸いです。