模試の作り方 vs 私立高校入試の作り方 vs 高校高校入試の作り方

学習塾教室長として受験対策に関わってきた経験から、何か役に立つ情報を提供したいと思い日々書いています。受験生や塾講師の参考にしてもらえるとうれしいです。

今回は入試問題の作り方についての話題です。

都道府県によって違いはあると思いますが、結果的に出来上がった問題を見ると、模試や私立高校入試と比べて県立高校入試は良問が多いです。

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模試の作り方

模試については、各都道府県の新聞社が中心となって運営していることが多いです。新聞社は以前と比べるとかなり受験に関わるようになりました。

本業である新聞の販売部数が減ったこともあるでしょうが、模試を企画して運営して、進路説明会、合同説明会、その他いろいろ手を広げています。実際、過去の受験生のデータをかなり高い精度で蓄積しているので学習塾にとっては大変助かります。

毎年数千人レベルの受験生の追跡データが集まるので、ある意味もっとも価値が高いのは成績推移データですね。私もこのデータをもとにどのような努力をするべきなのか考えて活かします。

 

新聞社の模試の作り方ですが、いつも作成している外注担当者に一任です。

全国の過去問を集めてひっくり返して、ちょっとひねって、傾向に沿ってアレンジして完成です。びっくりするような良い問題が入っていることもありますが、基本的には過去問に忠実な作りになっています。あまり挑戦的な問題を登場させるわけにはいかないので、塾講師からすると「またこの問題ね」となりますね。

各都道府県の出題傾向と大きくずれたら模試の意味がないですし、難易度にバラツキがあるとデータがおかしくなりやすいです。模試がテッパンの問題ばかり、というのは宿命でしょう。1人で低予算で作っているので限界もあります。

私立高校入試の作り方

私立高校入試は多くても2、3人のチームで作成するパターンが多いのではないでしょうか。

私立は各校の特徴が出て面白いです。全国的な出題傾向に沿ったり、今後の教科書改訂を意識したり、その学校が「何ができる生徒に来てほしいのか」手に取るようにわかりますね。

ものすごい難しい問題が入れ込まれたりするので難易度も変わります。英語と数学は基本的に難しくなる傾向が強い気がします。英語は長文読解、数学はグラフを活用する融合問題が早く解けないと高得点が狙えないですね。大学入試に通用する力をかなり意識しています。

県立高校入試の作り方

県立高校入試の場合は、全県数名のプロジェクトを組んで、少なくとも半年以上前から問題を作成します。

何度も検証してやっと出来上がるので、テッパンの問題から思考力を必要とする問題までバランスよく盛り込まれます。

・教科書レベルを網羅したい

・読解力、思考力、総合力を見たい

という目的があるのでしょう、自然といいバランスになります。

その結果、国語や英語以外でも長文で出題される傾向が高くなってきました。対話形式や資料形式も全国的に増えており、日本語を正しく読み込めるかどうかが重要です。

文章読解を集中して訓練しておいたり、中学受験などで適性検査対策を経験しておけば、高校入試、大学入試でもかなり有利になります。

おそらく入試問題の作成プロセスはどこの都道府県も大きくは変わらないはずです。

 

過去問に挑戦するときは目的が大切です。

・私立高校の過去問は出題傾向に沿って訓練する

・県立高校の過去問は読解力、思考力を訓練する

を確認しましょう。

 

参考にしていただけると幸いです。