現在私は、個別指導塾で教室長として働いています。
小学生から高校生まで150名前後の生徒が集まっていますが、塾で教えていると生徒の年齢に関係なく同じようなジレンマを感じます。意欲の高い家庭教師も同じ気持ちではないでしょうか。
それは
「講師がわかりやすく教えるほど、生徒はわかった気になる」
というちょっと厄介な現象です。
塾に来る生徒は、本人が来たくて来ている生徒もそうでない生徒も、学校の先生や参考書よりもわかりやすい解説を期待します。そうでなければ自分で勉強した方が早いです。気持ちはよくわかります。
保護者はお金を払って生活リズムを変えてまで塾に通わせるので、わかりにくい授業では納得しません。子どもがやる気を出して成績が上がることを期待します。気持ちはよくわかります。
講師はわかりやすくなるべく1回で教えて、生徒がどんどん自分で解いてくれることを期待します。遠回りな教え方で時間をかけると、教える自分が苦しくなるからです。全体のカリキュラムのあるので、あまり同じところに留まるわけにはいきません。
ここのバランスが難しいです。
「わかった気になる」
「わかった気がする」
と講師も生徒も感じていると、このまま走ってしまうので危ないですね。
いざ、中間テストで
「あれ、どうやるんだっけ?」
となります。実際は学校で配られるプリントや塾でも対策します。ここまでポカーンとはならないと思いますが、だいたい思っていたより点数が低いときのは、解答する力、つまり得点力が低いからです。
「わかってるコトとできるコトは違う」
ということですね。
実際に成果を出す学習塾は
「何がわからないのかわからない」
という迷子状態から
「知っているところまで戻って」
教えたことを生徒が理解しているか?
だけではなく、ちゃんと解けるのか?
まで確認します。
宿題もやってきたからOKとはしません。今ここで解けるかどうかが大切なので、上手に口頭確認をします。生徒がスラッと答えられたり、説明できるレベルで理解していると安心です。
家庭教師だったら、目の前で解かせてみることで自分がフォローしなくても解答できるか確認します。解答する手順を見れば、どのように宿題に取り組んだのか想像できます。
これは、社会人教育や社内研修にもまったく当てはまりますね。どちらかと言えば、大人の方が腰が重くて、しかも管理されていないので厄介かもしれません。
「わかる」と「できる」はギャップがある、というシンプルな問題なのですが、このギャップを埋められるかどうかが講師の腕の見せ所です。
学習塾や家庭教師を検討していたり、比較するときには
「どのように授業を進めるのか」
「システム、料金、合格実績はどうなのか」
だけではなく
「どのように点数を伸ばすのか」
まで確認すると、成果が出やすいです。
参考にしていただけると幸いです。