辞書持ち込みで満点取れますか?【音読と追い読みの重要性】

現在私は、栃木県宇都宮市の個別指導塾で働いています。

塾生は年に何回か県内高校対策として模試を受験します。これはどこの都道府県でも変わらないでしょう。その結果をもとに得点分析や偏差値を把握して、定期テストとは別に受験に向けた計画を考えます。

栃木県の場合ですが中3ともなると、年内に5回受験します。2カ月に1回のペースなのでなかなか忙しいですね。受験して安心するのではなく、受けっぱなしにならないように塾でも注意しています。

結果はそのまま講師や保護者とも情報共有して、今後に活用するのですが、今回は模試当日について感じていることを書きたいと思います。

 

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模試の実施日が日曜日なので、毎回ではありませんが私も試験監督をすることがあります。試験がはじまると基本的には試験中は50分待つだけなので、自分の仕事を進めたり、生徒が解答する様子を見ることになります。

 

試験中の見学(監督)をしていると、5教科のうち国語と英語は特に興味深い様子が見られます。そして、国語や英語が苦手な生徒をどのように伸ばすべきなのか、試験中の様子にはヒントがあります。

国語や英語が苦手だと、よくある原因として

「漢字が読めない」「漢字が書けない」

「英単語が読めない」「英単語が書けない」

が挙げられます。

 

この原因分析は一理ありますが、「単語の暗記量が足りない」という結論にしないことがとても大切です。じゃ、もっと覚えよう!という手を打とうとすると何千個の単語を目の前にすることになります。

単語の暗記量ではなくて、そもそも声に出して読めるようにしないと進みません。

 

実際、国語が苦手な塾生に教えるとき、問題文を声に出して読んでもらうと、意味がわかるかどうかの前に「読めない漢字を間違えたまま読んでいる」という現象がわかります。もうちょっと国語アレルギーが厳しいと「読めない漢字は飛ばして読んでいる」という現象もあります。

これではいつまで経っても、どれだけ読んでも点数は上がりません。

 

同じようなことは英語でも起きます。英語の場合は読めない英単語があったときに、テキトーに読むことができません。間違えて読んでいるならまだマシですが、多くの場合は飛ばしてサササーって流してしまいます。私もそこまでは聞きませんが、おそらく飛ばして読んでいる感覚もないのではないでしょうか。

 

試験監督の話に戻りますが、そのような生徒が例えば「辞書やスマホを持ち込んできてもいいですよ」と許可を出したときに、満点を取れるのかどうかという疑問が湧いてきます。満点までいかなくても80点、90点が狙えるのか、というと模試を解いている様子を見る限り難しいと思います。

 

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残念ながら、試験範囲が広がる模試になると30点取れるかどうか微妙な生徒はたくさんいます。そのような生徒が模試を解いているときには、問題を何度も読み返して「どうすれば解けるだろう」と試行錯誤する様子は見られません。どちらかと言うと、問題を読み返すこともなく若干諦めているようにも見えます。

 

個人的な正直な気持ちで言うと、その時間は「辞書とかスマホを使ってもいいから、頑張って解いてみよう」と挑戦してもらった方が時間が有効です。ある程度は点数が伸びるでしょう。と同時に、単語力の問題ではない!日本語力をどうにかしよう!という結論が出ると思います。

 

単語力はもうちょい先、偏差値でいうと45から60に上げるために必要ですね。

 

その前段階では、教科書や問題文を徹底的に音読することが最初の一歩です。先生が一文ずつ音読して、生徒が声に出して繰り返す「追い読み」も日本語力を高めるうえでは効果的です。

 

音読の重要性や昔ながらの「追い読み」といった学習方法は、よく知られたものですが、模試を受けている生徒を見ていると改めて実感できます。

 

私自身、塾の保護者面談を行うときに「国語や英語の点数が低くて悩んでいるんです…」というご家庭には、必ず音読することを提案していました。時間はかかりますが、必ず点数は上向いてきます。問題文から何が書いてあるのか、何を聞かれているのか、きちんと把握できるようになるので当たり前です。

 

ちょっと話は逸れますが、高校受験の試験方法について個人的な意見です。偏差値30台の学科などは「試験中に友達と相談OK!辞書で調べてもOK!」みたいな入試でもいいんじゃないかな?と思っています。これはそうしないと点数が取れないのではないか、というバカにするような話ではありません。困難に対してどのように乗り越えるのかを中学生のうちからシュミレーションして、試験した方が役に立つと思うからです。もちろん偏差値70を必要とする入試にも導入できます。

 

1人では難しくても、じゃあどうするか?

・誰かの助けを借りるのか?

・自分で何とか調べるのか?

の方が現実社会では重要だからです。

スマホやタブレットを使った教材も豊富に揃って、勉強する環境はどんどん進化していますが、同時にアナログな「読み・書き・そろばん」も大切ですね。

 

参考にしていただけると幸いです。