現在私は、栃木県で学習塾の教室長として働いています。
同じ会社でキャリアカウンセラーとしても働いていたので、その経験を活かして進路指導であったり、生徒向けのキャリアカウンセリングを行っています。ここでは、大人とのキャリアカウンセリングの場面ではよく出てくるキーワード「ワークライフバランス」について教育versionで考えたいと思います。
キャリアコンサルタントの吉田です。
「ワークライフバランス」や「働き方改革」の話になると、働くことに対するマイナスイメージや「働かない改革」と捉える方も多いので、決してそういうことではない!という軌道修正が必要になることがあります。
「ワークライフバランス」はいろいろな解釈や表現がありますが、私がいつも伝えるサンプルは自転車です。進む方向を決めるハンドル役、前輪が「ワーク」、加速したり、あるいは速度を抑えたりする後輪が「ライフ」のイメージです。
仕事とプライベートの境界線がない方も多いですが、分けるとすれば仕事をしている時間が一番長くなるはずです。寝ている時間より長いくらいです。つまり、どのような環境で、どのような人と一緒に働くかで人生の方向性は大きく変わります。基本的に収入も決まります。
プライベートは人生のたくさんのステージで過ごし方、関わり方が変わります。私自身も十数年前に結婚して、6年おきに子どもが3人生まれて、義理の両親との関わり方が変わり、趣味や読む本が変わりました。何に幸せを感じるのか、達成したい目標も大きく変わっています。優先順位は複雑になりました。
私の感覚では「ワーク」が前輪、「ライフ」が後輪です。どちらかが止まれば自転車は走れません。急に止まったら立っていられないかもしません。前輪と後輪がお互いの様子を見ながら助け合い、相乗効果を起こすことが理想です。
人により「ライフ」が前輪、「ワーク」が後輪、という方もいるでしょう。どちらが良い悪いではなく、「ライフ」のために「ワーク」が後押しするような相乗効果を起こすことが大切です。
教育でも同じことが当てはまります。
「スタディライフバランス」みたいな言い方でもいいのですが、ここは「ワークライフバランス」のままで考えたいですね。「ワーク」を「仕事」と直訳したとすると「仕事って何?」という疑問が出てきます。この疑問こそ、わざと「ワーク」という言葉を使う目的です。
「仕事って何?」を考えると
・お金を稼ぐこと?
・やらなきゃならないこと?
・自分の成長につながる?
・誰かに喜んでもらうこと?
どのように考えても、勉強と一緒です。
直接お金を稼げるわけではありませんが、将来に向けた投資と考えればお金を稼ぐことにつながります。むしろ、仕事をしていると
「受験生のときより勉強しているんじゃないかな」
と感じることばかりです。
学習塾で保護者面談や生徒面談を行うときは「ワークライフバランス」を意識しています。
受験にしろ就職にしろ、進路を決める前輪は「ワーク」です。
それを後押しする後輪は「ライフ」です。
何をするにも、どちらもスムーズに回っていることが最低条件です。
勉強しなさい!は誰でもわかるし、いくらでも言えます。
しかし、勉強を後押しするべき「ライフ」が重要です。ここが回っていないと間違った方向に進むことはありませんが、どこにも進みません。
・学校で大きなストレスを抱えていないだろうか
・そもそも塾に来ることにどう感じているのか
・人間関係での悩みはないだろうか
・ご家族は明るく前向きに接してくれているのか
・悩みや弱音を吐ける友達はいるのか
こういったことをクリアしていかないと、前に進みません。
特に、保護者の受験に対する意識と生徒本人の意識にギャップがあると難しいです。塾で60分面談しただけではほとんど何も変わりません。どちらかと言ってしまうと、保護者側の改善が必要なケースが多いですね。子どものうちは「ライフ」の方が周りの影響に支配されますが、だからこそ間違いなく言えるのは「親はバタバタしないで、どっしり構えているべき」です。
そして、保護者側の改善に関しては、優秀な家庭教師に軍配が上がります。悔しいですが。指導するとかフォローするとか、そんなレベルではなく学習環境全体の「立て直し」ができます。
教育の現場でも「ワークライフバランス」は大切です。
ちゃんと子どもの頃から、前輪と後輪を回し続ける意識やコツを持つことができると、働きはじめてからも何も変わりません。自分でハンドルを切って、アクセルを踏めるようになります。どちらかだけを優先することはないでしょうし、他人に対する理解も深まります。
せっかく学習塾でご縁があって、何度も面談を行います。ただ単に成績が上がればOK!、合格すればOK!だけではなく、今の経験をこれから先の人生に活かしてもらいたいと願っています。参考にしていただけると幸いです。