ちょっと前までは受験勉強をしている生徒に向かって「できるだけ良い高校に行って、できるだけ良い会社に入った方がいいよ…」なんて、それっぽい期待で励ます様子は学校でも家でもありました。「良い」って何でしょうね?あなたは「良い学校に行きたいなぁ」「良い学校に行きたかったなぁ」と思いますか?
フツーの会社は、学歴重視で新入社員を採用していたのですから、学歴のために勉強するのも無理ありません。学歴って何でしょうか。学歴は何をしてくれるのでしょうか。
栃木県のキャリアコンサルタント、吉田です。転職をサポートする仕事をしています。少し前までは同じ会社の学習塾部門で教室長として受験指導を行ってきました。学習塾の仕事はそれはそれで面白かったのですが、せっかくなので仕事や転職の話と合わせて、学歴を考えたいと思います。
学歴に対する見方は変わってきました。
・みんな知ってるような大学を出ても、残念な社会人が増えた
・みんな思っていたが、やっぱり「学歴では仕事の能力は決まらない」
・転職が当たり前になり、学歴よりも職務経歴が重視されるようになった
このような現象を目の当たりにして、誰だって「学歴がすべてじゃないな…」と気づいています。では社会に出てしまったら、学歴は役に立たないのでしょうか。改めて学歴って何でしょうか。
◆学歴とは?
デジタル大辞泉(小学館)によると、学歴とは
「学業に対する経歴」
です。味気ないですね。そりゃそうですが、学歴って、社会に出てからは「総合力」と表現して良いと思います。よほどの特技があってAO入試、一芸入試で大学進学している場合は別ですが、多くの場合は「どこの高校を卒業した」「どこの大学を卒業した」という学歴は「その人の総合力」を表しています。
・どれくらいの地頭なのか
・どれくらい頑張り屋なのか
・どれくらい幅広いことに対応できるのか
を知るためには、学歴を見れば一発キャッチできます。
私は仕事上、企業の採用担当者が応募者の履歴書を見るシーンを数多く見てきました。やっぱり採用担当者は応募者の学歴を見ます。もちろん、職務経歴(どのような仕事をしてきて、どのような成果を出してきたのか)はメチャクチャ読みます。それプラス、応募者の学歴を見ることで「この方の総合力はどのくらいかな?」とイメージしてみます。
なぜなら、応募者本人が「どうしようもないくらい向いてない仕事」をしていたら、成果なんて出るはずがないからです。出てない成果を見るよりは、学歴から「総合力」をイメージすることで、可能性を探ります。
・暗記する力
・継続する力
・挑戦する力
・興味を持つ力
・それを実現する基礎体力
・それを支える周りの環境
これらのポイントを知ろうと思ったら、やっぱり学歴です。学歴を見ることで失敗しにくい採用ができます。ミスマッチを防ぐっていう表現の方がピッタリかもしれません。(※ミスマッチとは、その人の価値が低いってことではありません)
インターネットがまるで水より広く深く全世界に普及することで、チャンスが平等になり、いつでもどこでもアクションを起こすことが可能になりました。時代が急激に変わっていくなかで「言われたことをマジメに勉強するだけの優等生」はなかなか活躍できなくなってきました。自分にしかできない仕事を持っているかどうかですね。
「能動的に動ける」
「新しいものを形にできる」
「とにかく動く」
「人に強い」
これらヒューマンスキルも重要視されますので、学校の点数が低くても悲観する必要はまったくありません。
◆学歴が高いと何がいいの?
学歴が高いと将来の選択肢が増えやすいのは事実です。今だに大学卒業が受験資格になっている資格もあります。メーカーなどでは、機械系・電気系・化学系・医療系の専門知識を持っていることが最低条件になってきます。医者・教師・建築土木などの分野も大学で学ぶことが結果的に近道です。
また難関大学であるほど、優秀な人脈、ネットワークをつくりやすいこともメリットと言われています。結局1人では仕事が進まないので、頼る友人がたくさんいることは頼もしいことです。
高学歴のマイナス面もちょっとだけ。
せっかく目標とする大学に行っても、高学歴を隠そうとする社会人もいます。「アタマいいんでしょ?」とか「へぇ、〇〇大学に行ってたの?」とハードルを上げられるのはイヤですよね。そんなに高く飛べません。そんな気がなくても近寄りがたい雰囲気を出しているかもしれません。
高学歴だから会社でも活躍できるとは限りません。仕事で初めて会った相手に対して、いきなり「この人、どれくらい勉強できるのかな?」なんて思うわけがありません。学歴マニアくらいです。むしろ数分話せば学歴なんて聞かなくても、どれくらい仕事ができるかどうかわかります。
◆学歴が低いと何が困るの?
どうしても大卒でないと取れない資格、どうしても高卒でないと入れない会社はありますが、多くの場合で学歴の低さはハンデになりません。私自身2,000人以上の転職希望者と面談を行ってきましたが、仕事で活躍できるかどうかは高校名、大学名では表せないポイントで決まります。そのポイントとは
・素直に聞く
・元気に挨拶できる、お詫びができる、人を大切にできる
・あきらめないで努力できる
・工夫ができる
・表現ができる
・考える、話す、動くのバランスがいい
・興味を持ったらハマる
挙げたらキリがありませんが、要するに点数や成績とは関係がないポイントです。どうしても勉強が向いてないと思ったら、人に喜んでもらうためにあなたができることを考えてみましょう。確かに学校では80点を90点に伸ばす努力は必要です。しかし社会に出てしまったら、あなたの数学が30点だったか90点だったかはどうでもいいことです。
学歴は重要ではありません。しかし学歴や専門知識がないとできない仕事があるので、よく調べておくようにしましょう。試験勉強も受験勉強も、その努力によってあなたの違う魅力が磨かれますので、前向きに頑張りましょう。